
根管治療
根管治療とは

根管治療とは、虫歯などが進行して、歯の根の部分(歯髄)に炎症や感染を起こしている場合に、神経を取り除いてその中をきれいにする治療法です。
物を握ったり触ったりしたときに感覚があるのは、指先まで神経が通っているためです。それと同じように歯の中にも神経が通っており、食べたり飲んだりしたときに痛みや熱さ、冷たさなどを感じます。
しかし、虫歯が進行して神経にまで達していると、痛みを感じなくなってしまいます。こうしたときに、根管をきれいに掃除して土台を作って被せ物をすることで、抜歯することなく歯の機能を維持することができるのです。
根管治療が必要な方の特徴は?
- 虫歯がC3の段階まで達した方
- 虫歯の進行により、激しい痛みや腫れを感じる方
- レントゲンを撮った際、根の先が黒く映った方
どのタイミングで根管治療が必要?
虫歯の進行度は、C0・C1・C2・C3・C4・C5の6つに分けられています。根管治療が必要になるのは、C3の段階に達したときです。1段階ずつの様子を見ていきましょう。
- C0(初期虫歯):要観察歯。虫歯になりかけの状態ではあるものの、症状も見られないため歯を削らずに治療が可能。
- C1(エナメル質の虫歯):歯の表面のエナメル質に虫歯が留まっている状態。
- C2(象牙質の虫歯):エナメル質のすぐ下にある象牙質に虫歯が進行した状態。
- C3(歯髄の虫歯):虫歯が神経に達した状態。激しい痛みや腫れを伴うため、根管治療を導入。
- C4(歯根部の虫歯):虫歯が歯根まで達しているため、根管治療に加えて状況によっては抜歯が必要な状態。
当院の3つの根管治療

当院では患者様の歯の状態にあわせて次の3つの治療法に対応しています。
抜髄(ばつずい)
抜髄とは、虫歯や噛み合わせの悪さ(不正咬合)、知覚過敏などが原因で、慢性的に歯髄を刺激してしまうと歯に痛みを感じるようになります。これを歯髄炎と言い、このような状態になったときに除去する根管治療です。
抜髄を行うことで、歯の痛みや違和感を改善し、炎症を抑えていきます。
感染根管治療
歯髄炎が進行すると、歯の根の部分は壊死してしまい、そこに膿が溜まるようになります。神経が壊死すると歯の痛みは感じなくなりますが、周辺の歯茎が腫れたり出血したりするほか、膿のイヤなニオイの原因になります。
このような場合、歯髄と歯根を同時に清掃して膿を取り除く必要があります。これが感染根管治療です。きれいに掃除をすれば膿は自然に改善します。
再根管治療
前回、根管治療をしたときに歯根に細菌が残ってしまっており、その細菌が増殖して再び歯根や歯髄を悪さをしてしまって痛みや腫れが再発してしまいます。そうしたときに、これまでに根管治療を受けたことがある歯に、再び何らかのトラブルが起きて再治療を行うことを再根管治療といいます。
再根管治療では、前回の詰め物を一度取り除いて根管の中を再度きれいにします。
根管治療の流れ
1.歯科用CTを用いた診察
歯科用CTを用いて、歯根の状態や虫歯の進行具合をチェックします。結果に基づいて、今後の治療方針などを決定します。
2.根管治療開始
虫歯による根管内の細菌や、汚染歯質を綺麗に取り除きます。専用の器具を使って、細かい部分まで徹底的に除去します。
3.洗浄と消毒
超音波や薬剤を使って、洗浄と消毒を行います。
4.週1回ペースで根管内を綺麗にする
仮のふたとして根管内に薬を入れ、約1週間おきます。これを週1回ペースで繰り返し、最終的に根管内が綺麗になったらシーリング剤を入れます。この薬は、体に影響がない歯科治療用のものなのでご安心ください。
5.被せものをして治療終了
根管内の治療終了後は、土台を作って被せものをして終了です。
当院の根管治療の特徴

当院では歯科用のCTなどの医療機器を使用して、根管ならびに歯髄の状態を詳しく確認し、状態を患者様と一緒に確認して治療計画にご納得いただいた上で治療を進めてまいります。
歯科用CTを使った精密検査
歯の大きさや形が人それぞれ違うように、歯の根っこ(歯根)の形にも個性があります。前歯の歯根は通常1本であるのに対して、前から数えて4〜5本目は1本の人もいれば、先の方だけ2本になっていることもあります。
奥歯になると歯根が3本になりますが、歯の根が曲がっていたり太くなっていたり根管がつながっていたりと、こうした歯の細かい形状は歯茎に埋もれているため通常は確認することができません。
そのため当院では、歯科用CTを使用して歯根の状態や虫歯の進行具合などを確認します。歯科用CTを使用することで、見えない箇所も正確に診断し、その後の治療計画に役立てていきます。
根管治療のメリット・デメリット
根管治療は次のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
根管治療のメリットは次の通りです。
- 抜歯をせずに済む
- 激しい痛みから解放される
根管治療の一番のメリットは、自分の歯を残せる点です。永久歯を抜歯すると、その部分の歯は二度と元には戻りません。現在はインプラントや入れ歯など性能の高い人工歯がありますが、それでもご自身の歯に勝るものはありません。
そして、根管治療を行うことで自分の歯を残しながら、これまであった激しい痛みから解放されます。ご自身の歯をなるべく残したい方にとっては、とても有効な治療法です。
デメリット
根管治療のデメリットは次の通りです。
- 再発する可能性がある
- 歯が脆くなる
- 歯の痛みを感じない
根管治療をするときに細菌が残っていれば、細菌が増殖して再び膿ができて痛みや腫れが起こる可能性があります。また、歯の神経を取り除くため、歯が脆くなります。これにより、歯を食いしばったり歯ぎしりをしたりしたときに歯が割れやすくなるため注意しましょう。
そして、歯の神経を取り除いているため歯の痛みを感じません。そのため、自覚症状がなく虫歯が進行しても気付かずに、虫歯をみつけたときにはすでに進行している場合があります。定期的に予防歯科を受けてお口の健康を維持することが大切です。
リスク・副作用
治療後に痛みや腫れが現れることがある
根管治療後は、噛むと痛みや圧迫感を感じたり、場合によっては腫れることもあります。ただ、激痛ではなく耐えられる程度の症状であることが大半です。通常は、長く見積もっても1週間程度で症状が治まることがほとんどです。それ以上長引く場合は、早急に医師までご相談ください。
抗菌薬による副作用が出ることがある
治療後に感じる痛みや腫れの対処法として、抗菌薬を投薬する可能性があります。抗菌薬による下痢や吐き気といった副作用が出ることがあります。
症状の再発による抜歯の可能性
根管治療後、残った細菌が増殖して痛みや腫れが再発する可能性があります。その際は、レントゲンで状況を確認し、場合によっては再度の根管治療や抜歯を行うこともあります。
虫歯を進行させない方法とは?
虫歯を進行させないために、歯磨きや食生活について見直す必要があります。今日から気軽にできる対策を、ぜひ日常生活に取り入れてみてください。
歯磨きとフロスを併用する
日々の歯磨きはもちろん大切ですが、歯ブラシだけだと落とせる汚れは約6割と言われています。歯間の汚れもしっかり落とすために、ぜひフロスを併用してください。
順番は、フロスが先で歯ブラシが後です。フロスで歯間の汚れを取った後、歯磨き粉をつけてブラッシングすると、フッ素が全体に浸透しやすくなります。
食後すぐに歯を磨く
食後は、虫歯の原因となる酸が活発に生成されてしまいます。それを防ぐために、食後はすぐに歯を磨くようにしましょう。
糖分を控える
糖分を摂取しすぎると口内が酸性化するため、虫歯の原因となります。糖分を過剰摂取している方は、控えめにするほか、摂取した後は糖分が少ない飲料(水やお茶)を飲むなどの対策を取ってください。
こまめに水分補給をする
口内環境を整えるために、こまめな水分補給を行いましょう。口内がうるおっていると、細菌の繁殖を防ぐことができます。口臭予防にも繋がります。
十分な睡眠を取って唾液量を増やす
毎日7時間前後の十分な睡眠を取ることで、唾液の分泌が増加し虫歯予防に繋がります。口内環境の改善はもちろん、心身の健康にも繋がるため、できる限り7時間に近い睡眠時間を取るようにしてください。
定期健診を受けて早期発見に繋げる
虫歯は初期段階で治療を開始すれば、時間も費用も最小限で済みます。定期検診を欠かさずに受けて、早い段階で治療を始めましょう。
歯石の除去や、歯科衛生士による歯磨き指導を受けるのも効果的です。当院は、木曜・日曜・祝日以外は19時半(土曜は19時まで)営業しているため、お仕事や学校帰りにもお気軽にお立ち寄りいただけます。
よくある質問
根管治療に痛みは伴いますか?
治療開始前に麻酔をするため、基本的に痛みは伴いません。痛みを感じる場合は、麻酔を追加いたします。
ただ、虫歯の症状や治療の範囲によっては、麻酔が効きづらく痛みを伴うこともあります。特に炎症や膿が出てしまっている状況だと、痛みを感じやすいです。膿を出し切ると治療中の痛みは緩和しますが、耐え難い場合は痛み止めを使用しますのでご安心ください。
治療期間中に噛むと痛みが出てつらい
咀嚼時の痛みは、どうしても避けることができません。可能な限り、治療中の部分で咀嚼しないようにしてください。保護がない状態の歯は非常にもろいため、割れないように注意が必要です。
根管治療にかかる期間・回数はどのくらい?
治療にかかる回数は一般的に2〜3回、期間で言うと1ヶ月〜1ヶ月半ほどです。ただ、症状が重い場合は4〜6回、長いと1年以上かかることもあります。
根管治療は保険適用で行える?費用は?
当院の根管治療は保険適用で行えます。症状や管の数によっても異なりますが、3割負担で1根管約5,000円がひとつの目安です。
これに加えて、CT撮影・抗菌薬などの費用もかかりますが、すべて保険適用内で行えます。費用についての詳細は、治療方針を決める際に詳しくお伝えいたします。
他院で治療中でも診察は受けられる?
もちろんOKです。他院に通院しているが改善されない、虫歯の治療中だが痛みが治まらないといった状況の方、お気軽にご来院ください。セカンドオピニオンも受け付けております。
虫歯を放置しているとどうなる?
既に進行している虫歯は、自然治癒されることはありません。放置していると、激しい痛みや腫れが出てきます。
虫歯の菌は顎の骨に侵入し、やがて血流に入って全身に回ります。その結果、心筋梗塞や脳梗塞が引き起こされる恐れがあります。必ず初期段階で治療を行い、場合によっては根管治療を取り入れて、最悪の事態を防ぐことが重要です。
治療中に痛みが治まったら通院をやめても良い?
根管内の細菌や汚染歯質が除去されると、確かに痛みが治まることも多々あります。しかし、菌が取り切れていない場合があるため、根管内で感染が続いて痛みがひどくなることも。
途中で治療をやめてしまうと、より症状が悪化して結果的に治療期間が長引きます。医師が定めた期間中は、定期的に通院をお願いいたします。
治療中に鳴る機械音は何?
「ピピピ」という音は、電気的根管長測定器(EMR)という器具の機械音です。根管内の長さを測ることで、隅々まで確実に洗浄することができます。また、必要以上に根管内を触る必要がなくなるため、痛み軽減にも繋がります。
できる限り神経を残す理由は?
歯の神経組織である歯髄は、歯に栄養を届けたり、虫歯による痛みを感知させる働きがあります。神経を取ると、このような働きができなくなるため、虫歯になっても気づかずに症状が進行してしまう恐れがあります。歯本来の役割を果たさせるために、神経はできる限り残すべきです。

アクセス・診療時間

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